InterFM897『Ready Steady George!!』(毎週月~金1pm - 4pm DJs: George Williams, Shaula)で、毎週金曜日、1pmすぎにお送りしている「Road to Fuji Rock Festival(FUJI ROCKへの道)」。毎回異なる視点から、国内最大級の野外ロック・フェスティバル、Fuji Rock Festival '19(新潟県湯沢町苗場スキー場、7/26 ~ 28開催)を深く掘り下げます。
第三回5月24日(金)のゲストは、津田昌太朗(フェスジャーナリスト)さん。
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ジョージ:日本最大の音楽フェス情報サイト「Festival Life」主宰。100以上の海外フェス体験を綴った「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」という本を出版した津田昌太朗さんをお迎えしました。よろしくお願いします。
津田:こんにちは。
■ 「Festival Life」について
ジョージ:100以上のフェス?国内を入れると?
津田:国内を入れるともう数えられないくらい行ってるんですけど、海外だけ100以上で一冊の本にまとめたという。
ジョージ:まず日本最大の音楽情報サイト「Festival Life」、どんなことを発信しているんですか?
津田:元々はブログみたいな感じでスタートしたんですけど、3年くらい前からはちゃんとメディアとして普通にフェスを取材して、スナップを載せたりだとか。音楽情報だけじゃなくて、ラインナップがどうとかいう話だけじゃなくって、フェスに「こういうもの持って行くといいよ」とか、「初心者に向けてこういうものがいいよ」とか。フジロックでも、初心者向け特集みたいな。「ホワイトステージはこんな感じだよ」っていうコンテンツを載せているサイトです。
ジョージ:毎年行っているとわかるじゃないですか。でも初めてっていう時は、一番びっくり。
津田:そうですね。自分自身が初めて行ったときに、本当に何もわからなかったんですよ。結構メディアとかって「ライブがどうだった!」とかいう話はあるんですけど、「え?キャンプどこに張ればいいの?」とか、そういうことが、僕が知りたかったので、作ったという。
ジョージ:「これ、遅く行くと急斜面になるよ」とかね。
津田:そうなんですよ。僕1年目のフジロックはテント全部流されました。雨で。
ジョージ:え!流された瞬間どうでした?
津田:フジロックって芝生じゃないですか、しかも朝早く行かないと、キャンプいいところ取れない。でも「あ、平面が空いてる」ってなったんですよ、初めてのとき。「あ、ラッキー!」と思ってそこに普通にテント張ったんですね。そしたら、そこバンカーだったんですよ。砂場にテント張っちゃって、でも初めてだからわかんない。「イエイ!」って踊って帰ってきたら「何もねーな。」と思って探してたら、水たまりに俺のテントある・・・。そんなことがありました。でも、そういうのをなくそうと思って、そういうメディアを立ち上げました。
ジョージ:そうだよね。みなさんそういう体験をしないように「Festival Life」があって。さっき100以上の海外フェスって言いましたが、これ自腹で旅してきたんですか?始めた理由は?
■ 100ものフェスティバル体験を一冊の書に
津田:元々日本のフェスに行ってて。ボランティアで手伝ったりしていて、いろんな日本を周っていたんです。で、フジロックが好きで、フジロックの日高(正博 ・SMASH代表)さんのインタビューを見たときに、なんかグラストンベリー(Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts: 英フェスティバル)っていうフジロックのモデルになったものすごいのがある!と。じゃあ、これ死ぬまでに行きたいな〜と思ったんですよ。会社員とかやりながら、死ぬ前にいつか行こう。って。あと僕もう1個夢があって、イギリスでThe Rolling StonesのLIVEを見るっていうのが夢だったんです。日本ではたくさん見たんですけど、「いつか大人になったらみよう!」みたいな。そうしたら、2013年にグラストンベリーでThe Rolling Stonesがヘッドライナーをするって年があって、友達がチケットを用意してくれて、それで行けるってなって行ったんです。
ジョージ:それが初めての海外?数年前のことなんですね?
津田:そうなんですよ。去年だけでも20以上のフェスに行って。元々グラストンベリーに行った後に、働いていた会社を辞めて、イギリスに2年間移住して、毎週ヨーロッパのフェスを回るっていうプロジェクトをやったんです。その時は日本のフェスティバルはやめて、海外でそういうことやってみよう!って思って。
ジョージ:日本の会社を辞めるほどの衝撃を受けたんですね?
津田:そうですね。The Rolling StonesのLIVE観て。本当は土曜日がThe Rolling StonesのLIVEで、日曜日がMumford & SonsのLIVEをすごい楽しみにしていたのに、あまりにも衝撃を受けて観ずに帰ったんです。で、ロンドンに帰ってなんか「わーー!!」ってなって、飛行機乗って会社辞めようって思って、次の日会社出社して辞表書いて辞めて、イギリスに移住してそこからフェスを周る活動を始めた。
ジョージ:すごい始まりですね。海外のフェスの体験が「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」。一冊になっていまして、いい写真がたっくさん。楽しいっていうのがすごい伝わるんですよね。
津田:写真もすごいこだわっていて、元々向こうに行ったときに。カメラマンとか動画撮れる仲間とか、翻訳できる人とか、いろんな人を仲間に募って一緒に「フェスティバル ジャンキー プロジェクト」って名前をつけていろんなところに行ったんですけど。それで、フェスに参加するようになって、写真もオリジナルのものが多いんですけど。もちろん、空から撮ったものとかLIVE写真はなかなか使えないので、オフィシャルから全て交渉して「写真ください!」って言って。「メール返ってこないかな?」って思うんですけど、意外と「え?そんな活動しているの?」って「日本からなの?」とか。これだけフェス行ってるとかデータを渡して言うと「えー!じゃあ、写真あげるよ」ってみんな色々協力的にしてくれて、で、この本が。
■ 海外フェスとは
ジョージ:ヨーロッパって、割とすぐに海外のフェスに行こうと思ったら、フランスに行けばすぐ隣の国にいけるじゃないですか?それでも津田さんはびっくりされる?
津田:毎回、どのフェスに行っても新しい発見があるのがフェスティバルのいいところだと思っていて。また、もっといいのが、こうやって海外フェスを100個くらい行った本人でも、日本のフェスって面白いなって思うんですよ。帰ってきて「こんなに面白いんだ」って。普通は飽きてくると思うんですけど、いま一番フェス好きな状態。
ジョージ:海外の印象に残っているフェスは?
津田:もちろん、初めに行ったグラストンベリーもそうなんですけど、最近すごい面白いのが先月も行ったコーチェラ。ここ3年くらいは面白くてKendrick LamarがすごいLIVEしたりとか、去年のBeyonceとか。今年でいうとChildish Gambinoが出てAriana Grandeが出て。今年でいうと Billie Eilishのライブが本当にすごくて、もう若い女の子に押しつぶされちゃうんじゃないかってくらい人気っていうのが、実際その場にいると、わかる。
ジョージ:感じた?
津田:感じました。最近「キャーーー!!」って言うのが、女性のアーティストではそこまで・・・。Lana Del Reyは人気ですけど、ゆったり聴くとかありますけど。「キャーーー!!」みたいな10代が集まるみたいのはちょっと。異常なくらいの人気が Billie Eilishだなって言うのが実際わかったりしますね。
■ フジロックのすごさ
ジョージ:新しい時代を切り開いている感じはしますよね。最初のフジはいつ頃?
津田:僕が初めて参加したのは2006年で10年ちょっと前なんですけど、僕は10代のときに、18か19の時だったんです。だから、レッチリがヘッドライナーの時ですね。
ジョージ:じゃあ、10年ちょっと前に初めて行って、そっからぐわーって?
津田:そうです。全部の週末はフェスです!休みなく!国内のフェスはだいたい行って。当時、学生時代全くお金がなかったんで、それは雑誌の取材の人に頼んで「何もいらないからチケットちょうだい!」って言って、「スナップも全部手伝う!」って。バイトみたいなところからやらせてもらったり。レコード店でアルバイトして、いろんな先輩に連れて行ってもらったりして。今だとくれる人いないかもしれないですけど。当時フェスのスナップ撮るとかもそこまでなかったのと、当時「GO OUT」って雑誌の編集長と仲良くて。夜飲んでて出会って「お前何してるの?」って言われて「いや、フェス好きなんすけど、フェスいけないんです。」「じゃあなんか手伝う?ライジングサンまで来て」って。だから、みなさんは飛行機で行きますけど、僕、鈍行でライジングフェスまで行って、スナップ手伝って、夜はみんなにお酒とか奢って貰って。
ジョージ:津田さんってすごい積極的でもあるけど、すごいめんどくさい人でもあるかもしれないよね?(笑)
津田:いやいや、そんなことはない(笑)
ジョージ:いや、いいと思う!好きなものが好きだとさ、追求するじゃない?わかる、その気持ちは。フジロックのどこがすごい?
津田:僕、海外行ってフジロックのすごさを本当に感じるんです。みんな会場が綺麗だとか言うじゃないですか?本当に綺麗なんです。みんなご飯が美味しいって言う。本当に美味しい!それを自分が言うんじゃなくって、海外行くと、僕みたいにいろんなフェスに行ってる人に出会うんです。「どこがいい?」って話になると、以外とフジロックっていうのはヨーロッパに住んでる人、アメリカに住んでいる人からもあがる。「何がすごいの?」っていうと、そもそも山の中、あんな環境で開催されているフェスはまずない。で、会場が綺麗。ご飯が美味しい。あんなアーティストがなんであんなに日本に集まるの?っていうのは、向こうから言われるんです。フジロックのTシャツ着てたりもするんです。それぐらい、1回行くとファンになっちゃう魅力があるフジロック。1回行きゃいいってもんじゃないのがフジロックの魅力で。僕10何回行ってますけど、まだやっぱりフジロックの何もわかっていないんだと思います。毎回新しい発見があって、いろんなことを学んで、勉強して、音楽もそうだし、もしかしたら、アウトドアとか自然のこととかもしれないし。それを、学んで帰れるのが楽しくて、それが魅力かなと。
■ 歳を重ねて変わる、フジロックの楽しみ方
ジョージ:歳とともにフジロックの楽しみ方も変わってくるんじゃないですか?僕20代の頃はなるべく多くのLIVEを観ようと思っていて、で、今はLIVEも観たいけど、なんかそよ風に乗ってくる音楽を聴きながらのビールって最高じゃないですか?それが最高の贅沢だと思うし。
津田:だから、会場の中を見て、それこそラジオやってたりとか、トークイベントやっていたり。若い時はそういうの全然興味なくてLIVEだけ観られればいいと思っていたんですけど、だんだん心に余裕が出てきていたり。かと思えばすごいLIVEを観たい瞬間とか、「今年はLIVEいっぱい観よう!」とか。自分なりの遊び方を考えられるっていうのもフジロックの魅力だと思いますね。
ジョージ:2006年からフジロックに行くようになって、津田さん流のフジロックの楽しみ方、聞きたいんですよ。
津田:僕、別に普通なんですよ。若いときは全部LIVEみるぞ!!って、タイムテーブルにはペンで書いて、こっからここに移動!ホワイトからグリーンまで15分くらいで移動しなきゃいけない!とかやっていたんですけど、最近は結構ゆったり過ごそうみたいなモードに入っていて。まず一番はじめにやるのが、全体を一人でゆっくり歩いてみる。今年何が変わったのかな?とか。最近だとアジアのお客さん増えたなとか。聞こえてくる言葉が違うな?っていうのを、過ごしてみて何が変わったのかをなんとなく体験するっていうのが、最近自分の中の流行り。あとは同じことをやるっていうのもやっていて、絶対このご飯屋さんに行くとか。例えば僕、「舞茸丼」が好きなんですけど、そこに行って店長さんに「Say Hello」って言って、「今年もフジロックよろしく!」みたいな。自分なりのルーティーン。
1年に1回しか会えない人もいるので、そういう人にも会ったりして、そういう人たちにはお昼に会わないと、夜になると飲んじゃったりしてるから。お昼の間に「久しぶりー!」みたいな話をちゃんとしておいて、LIVEを楽しんで、夜はもう自由に過ごすっていうのがいい。もちろんちょっと取材したりもあるので。来場者の人をスナップさせてもらったりもあるので、どういう人がきてるのかな?って。フジロックに来ている人も好きなんですよ。若い子増えたな!とか、ヒップホップ好きが増えたんだなとか、履いてる靴が以外とアウトドアじゃない!とか。そういう小さなところを見るのが、フジロックいいな。って。
ジョージ:そういうのを見ると「あ、この人フェス初心者だな?」とか?
津田:そうです!この人はワンデーだなとか。来年この人がくるには、どういう情報を僕は発信したらいいんだろ?とか。
ジョージ:ハイヒールやめろ!って、そういうのものね。でも、まず1周するのはいいですよね。
津田:だから、時間があるうちに、ドラゴンドラ乗って上に行ってみたりとか。夜は観たいLIVEが詰め込まれてくるので、昼間の間にゆっくり過ごしてっていうのが僕なりの過ごし方ですね。
ジョージ:海外のフェス、「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」を津田さんが出しているので、ぜひチェックしてほしい。今後の「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」でどんな情報をアップ?
津田:フジロックの初心者向けの情報とか、去年こんな来場者が来ていたので「夜、長袖あったほうがいい日もあるよ〜」とか、そういうわかりやすい情報をさらに発信していきたいなという風には思っています。フジロック以外にもいろんなフェスを発信しているので、特にフジロックはかなり厚めに情報出すので、チェックしていただけたらなと思ってます。
ジョージ:僕、何回フジロックに行っても、あの時期だと東京はものすごく暑いじゃないですか?だから別にそんな厚着のものを持っていかなくて大丈夫!って思うけど、いやいやいや。ダウン持って行ってもいいくらい。
津田:だから、天気予報見て、今年持って行くものを変えようっていうのもあると思いますし、そういうのは年々変わって行くので。あと1年に1回しか行かないから、意外と忘れちゃうので、毎年行っている人でも、荷物情報とかちゃんとチェックして行ったほうがいいかなと思います!
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【番組情報】
Ready Steady George!!
放送日時: 月~金曜 1pm - 4pm
DJs: George Williams, Shaula
メール: rsg@interfm.jp
ハッシュタグ: #ジョージとシャウラ