僕は、基本、ロンドンのクラブ・シーンの影響を受けたので、今も、ロンドンのDJ達の動向にはアンテナを張っている。
最近でも、ブリット・ファンクのリバイバルや南アフリカの現行ジャズをGilles Petersonが推しているし、ここ数年の南ロンドン・ジャズの活況、Giltter Boxが主導するDisco/Boogieの盛り上がり・・・と羨ましい限りである。
かつて日本も、U.F.Oが牽引したACID JAZZ、DJ KRUSHが発明したインストのヒップ・ホップ、Sleep Walkerが世界に影響を与えた現行のスピリチャル・ジャズ、Calm、福富幸宏、KJMやJazztronikが、仏独と連携したFuture Jazzなどユニークなアーティストが注目を集めていた筈。
Soil&"Pimp"Sessionsの奮闘以降、僕を含めてロンドンに引き離されっ放しの危機感を抱いている(苦笑)。
とは言え、何もない訳ではない。
Muro君は、常に海外勢から注目されているし(最近はJ Dillaの復刻にリミキサーとして抜擢された!)、DJ Koco aka Shimokitaの世界レベルでの人気は止まる所を知らない。
民謡クルセーダーズも、Tiny Desk Concertへの出演を果たしたし!
皆、The Roomとは何からかの繋がりがある人ばかりだ。
The Room Radioの宣伝なのでThe Roomのことになってしまって申し訳ないのだけれど、The Roomで知った、或いは、かけ倒した音楽が後に海外から新たなムーブメントとして逆輸入されることもある。
City Popと呼ばれる和物は国産のアシッド・ジャズやフュージョンと一緒にオープンの頃からかかっていたし、イギリスでも様々なアーティストがエッセンスとして取り入れているアフロ・ビートは、The Roomでもプレイして頂いている長田定男さんが、それこそThe Roomが出来る前からずっとプレイされている。
数年前に遡るが、Quanticが中南米路線にシフトした時に、「やっぱりそういう流れもあるよなぁ」と納得した。
それは、既に藤井悟さんや松岡徹さんのプレイで耳慣れた音だったし、今回、The RoomのGM、冨永が指名したKSKが得意とする音楽群だった。
京都に移住する前は、妻と彼らの音楽で踊ったものだ・・・。
僕は、シーンの形成には、DJのプレイだけではなく、バンドの活動、もしくは音源のリリースがマストだと考えている。
聴いて、手にできて、しかも、観ることによって愛着が深まり、噂が伝播し、人が集まるからだ。
長田さんも参加するアフロ・ビートのイベント、密林でライブが観られる、KSKがCOPA SALVOの7インチを切るなんて事は、日本が発信力を失っていない証拠だし、独自のシーンの形成し、あわよくば、海外のシーンとリンクして行くことを願っている。
中南米音楽への関心はバンコクのレコ屋なんかでも目撃したからね。
偶然の世界同時進行なのか?
それとも必然的な潜在意識下での国境を超えた連帯なのか?は僕には判らないけれど、かつてKyoto Jazz MassiveをQuanticにRemixしてもらった僕が、KSKとThe Roomで繋がっているのは面白いと思う。
世界は広いようで、狭いのだ。
それにしても、大手レコード店の店員のイメージが強かったKSKが、ショップを立ち上げ、レーベルをスタートさせたとは知らなかった。
彼も立派に、逞しく育ったものだ。
先輩達に揉まれ、吸収し、今、彼が何かを我々に伝えようとしている。
皆さんにもそれを感じ取って頂けると幸いです。
沖野修也
Amemiya KSK (discos PAPKIN)
DJ。山梨県甲府市出身。
世界に溢れるアフリカ、カリブ、ラテン・ミュージックにインフルエンスされた『今』の音を幅広い解釈で選曲し活動中。
コロンビアの名門レーベル「Discos Fuentes」の音源をセレクトしたクンビア・コンピレーション・アルバム「CUMBIAS CUMBIAS CUMBIAS CUMBIAS」の企画・監修・解説の執筆を行う。
2012年よりオンライン・セレクト・CD/レコード・ショップ「discos PAPKIN」をオープン。
2019年から、新たにレーベル部門を同ショップ内に立ち上げ、オリジナル作品の制作を開始。
第一弾としてラテン・バンド、COPA SALVO の7インチを発売。
ネット販売だけでなくカフェ、バー、クラブから野外フェスなどでポップアップストアも頻繁に行っている。
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4/4(日)4pm - 5pm
DJ: Amemiya KSK
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