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『謝音祭』放送用に収録した参加アーティストのコメントを、WEBで再現。後藤正文 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)さんに三つの質問をぶつけてみました。
「InterFM897謝音祭をお聴きの皆さん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文です」
コロナ以降音楽への向き合い方は変わりましたか。
「そうですね、自分にとっての音楽っていうのはほとんど変わらず、自分のど真ん中に据え置かれていることに違いはないんですけれども。ただやっぱり、ライブが出来ないっていうのはとっても大きなことで人前で演奏してそれってやっぱり作った楽曲がその場で生命力を帯びる瞬間を目の当たりにできる数少ない場所なんですよね。
例えばリリースしてCDにする、色んなメディアで、ラジオで発信する、配信で発信する、でもそれを実際に手に取った人のその表情ってその場では見ることができなくてそれなりのリアクションなんかはゆっくりゆっくり返ってきますけれども、ライブっていうのは自分にとっては自分が作った音楽の喜びを多くの人と分かち合えているんだって実感、それを得られる場所だし、またそういうのがお客さんとのキャッチボールの中で何倍にも膨れ上がっていく。
音源を作った時ももちろん感動はあったけどもそれとは質の違う、この時にしか生まれ得ない新しい感動みたいのをみんなで得て、音楽自体はその場でパッと消えてしまうんだけど、そこにあったエネルギーってのはどこか自分の細胞を、例えば遠く離れてしまった時間だけども今でも、震わせているような気がするというか。そういう場所が今なくなってしまったっていうのは自分にとってはとても大きくて。でもそれはウィルスのせいだけなのか、っていうところがありますよね。
自分たちの生き方、暮らし方、社会のあり方。人間がもはや未開の地はないというほどまでね、この地球上を飛び回ってそして自分たちの欲望のままに自然から色んな物を、搾取という言い方は強いかもしれないけど、そういう要素はある。そういうのの延長線上にこのウィルスの脅威があるんじゃないかという考え方もありますよね。
だから一概にこういう厄災を外部化して攻めることが出来ない。これが地震とかだったらもうそれは避けることが出来ない大チャンスだと思うんですけど、自分の生き方、暮らし方を問い直す機会にはなっている。生き方、暮らし方っていうのは音楽とどこかで繋がってますから、そういう意味では音楽の向き合い方、変わったのかもしれない、とも思いますね」
感謝の意を込めた楽曲っていうのはありますか。
「まぁでもどんな曲にもそういう、ありがとうとは言わないけどそれに近しい気持ちみたいのはありますよね。濃淡はありますけれども、込め方の問題。
だからこういう音楽からもらった愛みたいなものを言葉にしなくても解してるっていう。メロディーとか楽器のタッチとかって、何がいいかって言ったら愛してるとかありがとうとか直接言わなくてもその気持ちを込められるところか、もしくはそんなはっきり言葉にならないけど、そういうフィーリングがあるんだってことかもしれないし、自分では感情だって捕まえる前の細かい繊細な何かも音とかメロディーはすることができるから、それが音楽の素晴らしさのひとつでもあるな、なんていうのはね。改めて思いますけれども」
音楽を擬人化して一言、感謝の気持ちを述べるなら。
「これめちゃくちゃ難しい質問ですけれどもね。僕はね、もう本当に言わないと思います。その言葉を。だからラジオですごい伝わりにくいんですけど、ちょっとなんかこう、ハニかんだような笑いでニヤッとするぐらいがちょうどいい音楽との距離感かなって感じが。
その信頼とか感謝とかそういうのを含め、あえて言わないみたいなのが自分の気持ちなんで、例え音楽が人間だとしてもそういうことかなっていう気がします。まぁでも本当は親しい人にこそ、そういうこと言わなきゃいけないのかもしれないんだけど、こと音楽に限ってはなんも言いたくないなって気持ちがあります」
「番組を聴いているリスナーの皆さん、本当に音楽を好きでいてくれる人、僕もそういうリスナーの一人でもありますけども、そういうリスナーがあって初めて音楽が鳴る場所が用意されるというか、誰かの作ったものが宙に放り出されるだけではなく、行ったり来たりの何かエネルギーが生まれてすごく意味のあるものに音楽が変わるような気がしています。
だから本当に伝えたいって気持ちがあるとしたら僕は、音楽そのものよりは音楽を好きでいてくれている人たちにメッセージを伝えたいですね。
ありがとうございます。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文でした」
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2020年7月24日(金)12pm ~ 8pm
InterFM897 SPECIAL DAY 「謝音祭」
DJs: 井手大介, 堀田茜
ハッシュタグ:#音楽ありがとう
radikoで後藤正文 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)のコメントを聴く▼