“鎌倉シャツ”で親しまれる、メーカーズシャツ鎌倉株式会社。在庫を抱えないワケは「物ではなくサイズを売る」

12/18（日）9pm - 9:30pm

今日も『お店ラジオ』にようこそ！

パーソナリティは、事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さん。

ゲストは、“鎌倉シャツ”の愛称で親しまれている、メーカーズシャツ鎌倉株式会社の取締役副社長、貞末哲兵さんでした。

メーカーズシャツ鎌倉株式会社は1993年、貞末さんのお父様によって創業されました。

「父が、VAN Jacketという当時すごく巨大な会社に勤めてまして、53歳で起業したんですけど、それまでのアパレルの問題点っていうか、大量に物を作って最後にセールで売っていくという仕組みに限界がくるだろう…と。そういう考えで、セールをせずにプロパーだけで勝負していく！と」。

貞末さんが聞いたお父様さまの話によると、大量に物を作って倉庫が山のようになり、セールでも売れなくなって、最終的に在庫が圧迫して潰れていくメーカーもあったそうです。

では、鎌倉シャツでは、どのように売っているのでしょうか？

「シャツが棚で置いてまして、例えばネックサイズが39サイズ・40サイズなど、棚で販売していくので、物というより“サイズ”を売るというビジネススタイル。ロットで作るんですけども、最後の1枚も棚の中に入れば、その1枚は消化していくということ。売れ残り感が出ないんですよ、棚なので。そのサイズを買うお客さまは、それをお求めになる。そうすればセールをせずに済むのではないか、という仮説を立てて、30年これでやってこれたということなんですよ」。

デザインというより、サイズに重点を置いたのですね。

そして実は、会社勤めの時代に鎌倉シャツを愛用していたという三戸さん！

今はオールシーズンTシャツスタイルの印象ですが、当時は、鎌倉シャツをとても重宝したと言います。

「私も身長186で、裄丈（シャツの袖の長さ）が90ちょっととかあるんですよ。で、LとかLLとかになると、首回りがダボダボになって。鎌倉シャツさんは、首がちゃんと締まってて、腕までちゃんとある。この両方をうまく掛け合わせで買えるんですよね。そういうお店がなかったから、すごいなと思っていた」とのこと。

貞末さんがおっしゃるには、紳士服というのは、ネックサイズと裄丈（シャツの袖の長さ）がビシッと揃っているのがまずスタートだということで、それだけサイズが大事なのですね。だからこそ棚売り＝サイズビジネスだと教えてくださいました。

しかし、ベーシックで汎用性が高い服、そうなってくると競合が多くなってくるのでは？

すると、このようなお答えが。

「弊社が当時売っていた商品っていうのは、ラルフローレンとかブルックス・ブラザーズで1万5000円くらいで販売している商品を、4900円で販売するというところで、新規参入していったと思うんですね」。

えっ、それは安い！なぜそんなに価格を抑えることができたのでしょう。

「それはですね、普通のアパレルメーカーっていうのは問屋さんとか商社さんに、ある意味で丸投げして商品作りや工場の手配をお願いするんですけど、鎌倉シャツの場合は、工場さんと直接取り引きすることによって、中間のマージンを排除するというスタイル。かつ、一般のアパレルが20〜25%の原価率で、弊社の場合は50%くらいになっちゃっているんですけども、それによってお客さまには非常にお求めやすく喜んでいただけるということです」。

なるほど〜。ほかより低価格で、なおかつ品質が良い！というのが、鎌倉シャツの魅力の一つなんですね。

中間業者を入れない代わりに、自社内に生産の部隊など色んな部隊がある、とのことでした。

また、「洋服ってパターンメイキングが大事。いわゆる型紙ですね」と、貞末さん。

生地に型紙をあてて、パーツごとに生地をカットし、そのパーツを組み合わせてシャツを作るのですが、この型紙をつくるのが難しいと言います。

「人間の体は丸いじゃないですか、立体的だし。平面をつなぎ合わせて縫製して曲線を作っていくんです。これが普通は全然できないんですよ。中国やベトナムでもシャツを大量に作っているけど、型紙が平面のままで出来上がっているパターンがすごく多いので、着てみるとペラッとしている、シャツにふくらみがない。そういうものが今すごく散乱している感じがしますね」。

さらに「縫製する方がパターンを理解していないと縫えない」「ただパーツを組み合わせればできるってものではない」そうです。

このあたりにも、鎌倉シャツが長く多くの人に愛される理由があるんですね！

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