大企業とのコラボが実現したのは何故？人気のスペシャリティコーヒー店「猿田彦珈琲」

10/29（日）9pm - 9:30pm

『お店ラジオ』にようこそ！

パーソナリティは、事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さん。

ゲストは、先週に引き続き、猿田彦珈琲株式会社の代表取締役、大塚朝之さんでした。

スペシャルティコーヒーのお店「猿田彦珈琲」の知名度を一気に上げるきっかけとなったのが、缶コーヒー「ジョージア」とのコラボです。

実は、まだ1店舗目のときに「ジョージア」の監修を行うことになったそうで、小さなコーヒー屋さんが一体どのようにして大企業とのコラボを実現させたのでしょうか。

「2012年に突然、コカ・コーラ社さんから『コーヒーのサードウェーブについて講義してほしい』という話がきたんです。1時間の予定が2時間半と長引いて、それぐらい気に入ってくれて。そのあと、毎週のように、開発の人やマーケティングの人がお店に来てくれて、それが1年ぐらい続いたんです。ある日、急にまた『コカ・コーラの本社に来てよ』と言われて、行ってみたら缶コーヒーの試食でした。その味は、猿田彦珈琲の定番ブレンドの缶コーヒーバージョン。そこで味のディレクションをしてくれと頼まれました」。

2011年〜2012年は日本でもコーヒーのサードウェーブが出始めた頃。

コーヒー専門店だけでなく、当然、缶コーヒーのメーカーも目をつけていたわけですね。

そんな時、コーヒーについて講義を受ける相手として「猿田彦珈琲」に白羽の矢が立ったのは、先週のお話にもあったように“２つの方向性”を持って独自のこだわりを貫いていたからなのかもしれません。

スペシャルティコーヒーと150円の缶コーヒーがコラボする。これにはやはり、非難の声もあったと言います。

缶コーヒーの監修で「猿田彦珈琲」のブランド力が損なわれる懸念はなかったのでしょうか？

すると、「最初は僕も断ろうと思っていたんですけど、昔、猿田彦神社の宮司さんが言っていたことを思い出した」と大塚さん。

「僕らは猿田彦神社の名前を借りて商売しているわけですが、日本の人は猿田彦のことを忘れちゃってるからお店の名前につけてくれてありがとうって、宮司さんは言ってくれたんです。それで、コーヒー業界的に非難されるのは間違いないけれど、猿田彦神社への恩返しという意味でも有りじゃないか？と思って引き受けました。150円の世界のコーヒーと、500円の世界のコーヒーは違って当たり前なので、たとえ自分たちがビッグビジネスに絡んでいっても、一番大事にしている本質、純度、世界観みたいなものに対して地道にやり続ければ問題ないんじゃないか…と、当時は信じていたんです」。

そして、猿田彦珈琲監修の「ジョージア」は、他社の缶コーヒーが味を後追いするほどの人気商品になりました。

以降、大塚さんは様々な企業とタイアップ。スペシャリティコーヒーを世に広める結果となっています。

そういう意味ではコーヒー業界への貢献も果たしているわけですね。

現在、店舗だけでなく、スーパーマーケットやコンビニでも「猿田彦珈琲」の商品を見ることができます。

「原価率が正直、コーヒー屋のくせに40%ぐらいあるんですよ。コーヒー屋にしたら高いと思います。スーパーマーケットで売っているドリップバッグやコーヒー豆も原価率めちゃくちゃ高いんです。でも、僕らの店舗に比べたら数がたくさん出るから、僕らぐらいの規模感だと、それである程度は利益が出るので、今はそういったビジネスモデルに徐々になりつつあります」とのこと。

コーヒー業界から非難を受けつつも、自分の考えを信じて独自性を貫いてきたからこそ、こういった道が拓けたのかもしれませんね！

それでは最後にいつもの質問です。

「大塚さんにとって、お店とは？」

お答え……「一つのシェルターになっていきたい」。

お客さまにとっても、従業員にとっても、店がシェルターになっていけたらいいなと常に思っている、とのこと。

居心地の良い場所であり、笑顔を守るシェルター。それが大塚さんの想いでした。

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