1泊100万円？！バリューマネジメント株式会社に聞く、文化財を保全しつつ収益を上げる方法

6/25（日）9pm - 9:30pm

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『お店ラジオ』にようこそ！

パーソナリティは、事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さん。

ゲストは、先週に引き続き、バリューマネジメント株式会社の代表取締役、他力野淳さんでした。

文化財となっている歴史的建造物や古いまち並みなどを保全・活用する事業を行なっている、バリューマネジメント株式会社。

建物の修復には費用も時間もかかるものですが、一体どのようにして収益を上げているのでしょうか。

すると、「乱暴な言い方すると、先に値決めをするんですよ」と他力野さん。

「高いほうが売れると思っていますね。愛媛県大洲市で、お城に泊まれるようにしたんですけど、2名で100万円という値付けにしたんですよ。100万ってキャッチーじゃないですか、注目されるんですよ」。

えっ、2名で100万円！？それってお客さまは来るのでしょうか…。

他力野さんは、「売れなくてもいいんですよ、アイコンなので」とのこと。

「愛媛県の大洲市って、多分聞いたことないと思うんですよ、僕もオファー受けるまで知らなかったんで。で、そんなまちが、城に泊まれるプランをやる。花火がドーンと、そのまちから上がるわけですね。城があるってことは城下町ってことじゃないですか。実際に今、城下町をどんどん復元していってまして、そこの分散型ホテルでも泊まれるようになっています。2階を客室にして、1階は店舗を入れていっているんですよ。地元の人とか新しく開業する人とか、どんどん入っている。すると、まちが活性化するじゃないですか。アイコンでドーンとやりながら、足元で稼いでいくっていうことが一つですね」。

なるほど〜。大洲城での城泊を核にすることで認知度をアップ。そして城下町を復元して、そこに分散型ホテルを展開することで、まち全体がホテル・コンテンツになっている！ということですね。

また他力野さんは、レストランの客単価の設定についても、「高いほうが、その地域の価値を感じられるんです」と言います。

「地産地消って言っても、安いと日常の食事しか提供できない。それってポテンシャルが開花していないんですよ。食材は素晴らしくても、そこに技術を入れようとしたら、職人を呼んでこなきゃいけない。高級魚も使いたいじゃないですか、でも客単価の設定を高くしないと、なかなか難しい。全部、東京に流れているんですね。地元では高く買ってくれないから、わざわざ築地や豊洲まで持っていくんですよ。そういう力学が働くので、地元がどんどん廃れちゃう。でも、そこでお金を高く設定すると、地元の良い食材が使えるようになる。本来は地場でとれたものを地場で食べたい、それこそ“体験”じゃないですか。そのためには単価を上げないといけないんですよ」。

うーん、確かに、私たち日本人は「良いものを安く」という意識が根強くあります。

そうではなくて、単価を上げることで所得が上がり、所得が上がれば優秀な人材が集まって産業が活性化する。他力野さんは、そう教えてくださいました。

ただ、そうすると、また別の疑問が浮かんできます。

地方で単価を高く設定することで、求められるスキルも上がり、人材の確保が難しくならないの？ということ。

この疑問に対して、他力野さんは、「2024年の新卒のエントリーで1万を超えています」とのこと。

ええー！それはすごいっ！！何故なんですか！？

「理由は、僕らは飲食業をやりたいわけではなく、ホテルをやりたいわけでもなく、地域を活性化させたいだけ…なんですね。もしくは、地域の宝を残したい。そういった文脈だと、人がめっちゃ来るんですよ。何のために働くのか、周りにどう価値が出せるかっていう軸で探している人たちって多いので。なので僕は、飲食もホテルも、すごく地域の価値を上げていると思っていまして。まちの価値って、実はサービス産業のコンテンツ一個一個なんですね。一般的に“私たちのホテルはこんなホテルです”って、わりとハード的な内容で募集を出すところが多いんですけど、僕らは中身で“何を実現したいのか？”っていう世界観を出すことにしています」。

バリューマネジメント株式会社では、インターンシップに関しても、2024年新卒向けに3,000人も受け入れているというから驚きです。

では、そんな他力野さんにとって「お店」とは？

お答え…「まちをつくる存在」。

「3カ月前の家のご飯は覚えていなくても、10年前の旅行先でのご飯は覚えているじゃないですか。だからやっぱり、サービス産業って、その地域が記憶に残るような特別な価値を作っていると僕は思っているんですね。コンテンツこそが価値だと思っています」と、語ってくださいました。

他力野さん、とても勉強になるお話、ありがとうございました！

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