老舗書店「有隣堂」の挑戦。モノと一緒に、ネットでは体験できない「コト」&「トキ」を提供する

2/26（日）9pm - 9:30pm

お店ラジオ supported by スマレジ

『お店ラジオ』にようこそ！

パーソナリティは、事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さん。

ゲストは、株式会社有隣堂の代表取締役社長、松信健太郎さんでした。

「有隣堂」といえば、関東圏に展開する1909年創業の老舗書店です。

松信さんの曽祖父が、横浜で小さい本屋を始めたことが最初でした。

そんな「有隣堂」も現在、時代の流れとともに苦境に立たされています。

「今、実は、書店の売り上げは半分以下に落ちちゃっています。500億から550億ぐらいの商いをさせてもらっていますけど、書店の売り上げがもう250億を切っています」とのこと。

「とにかく今まで、日本の高度成長期っていうのは、本屋さんはモノを置いて並べていればビジネスが成立してきた。で、デジタル化とともに、それが成立しなくなってきた」と、松信さんは言います。

そこで、「ECがあることを前提に共存していくこと」というのが、松信さんのお考えです。

「ネットではできない体験とか、“モノ”だけに限らず、“コト”“トキ”といったものを、モノと一緒にご提供しながら、リアルとして意味のある場所を作っていく。価値のある場所を作っていくっていうのが、私たちのとるべき戦い方なんじゃないのかなと思っています」。

そういった考えのもと、本屋というカタチに囚われず、様々な新しい業態に挑戦している「有隣堂」。

例えば…？

「東京ミッドタウン日比谷に『ヒビヤセントラルマーケット』というお店を出させて頂きました。お店の半分ぐらいが居酒屋です」。

本のほかに、居酒屋が併設しているということですね。その自社資源を活用して、小説家の先生とファンが一緒にお酒を飲む！といったイベントをやったところ、大変好評だったそうですよ。確かに、それは楽しそうですね〜。

ほかにも、台湾で有名な「誠品書店」とコラボした『誠品生活日本橋』というお店では、800坪ほどの面積の半分が本、それ以外はタピオカミルクティーや台湾茶などの飲食、そしてアクセサリーなどが売られていると言います。

ところで、最初のお話にもあったように売り上げの半分以上が“書店以外”とのことで、正直、そちらに舵を切ったほうがいいのではないでしょうか？

すると、松信さんはこう語ってくださいました。

「常にそこは葛藤で、もう書店やめちゃえばいいんじゃないの？って、実際に多く書店さんがやめちゃったりしてる。ただやはり、日本って国際競争力も弱くなって、もう一回この国が輝きを取り戻すためには、国民一人ひとりが成熟していくしかない、成長していくしかない。その時に、やっぱり本の影響って大きいだろうな…と。本屋さんの役割って大きいだろうなって考えると、創業以来百十何年、本を売ってきた身としては、できれば本は続けていきたいなという思いでいます」。

松信さんがおっしゃるには、「本の粗利はだいたい25%ぐらい」。そこに、有隣堂では人件費が売り上げの12%ほどかかっていて、施設費つまり家賃が12%、これでもう粗利のほとんどが飛んでしまっている、とのこと。

そんな厳しい状態でも、書店は続けていきたい。そのために今、試行錯誤を繰り返していると話してくださいました。

収録中、「これ言ったら怒られるかも」と言いつつ、色々と教えてくださった松信さんに感謝です！来週も本屋の裏側を深掘りします。お楽しみに！

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