Topo Chico Hard Seltzer presents『Syndicate Radio』は、「決めつけないのがルール」を合い言葉に、新しい挑戦をしていく実験的なラジオプログラム。
自由な価値観で新しい企てをする仲間が繋がれる秘密基地として、番組DJのemmaが、毎週様々な価値観を持ったゲストを招いて、トポチコ ハードセルツァーを飲みながら、多彩な話題でゲストの素顔を引き出していく。
今週はemmaの友人でもあり、「Girls Don't Cry」や「Wasted Youth」のプロジェクトで知られるグラフィックデザイナーのVERDYが登場。今や入手困難となった「Girls Don't Cry」の文字がプリントされたTシャツが生まれた背景やデビッド・ベッカムとの接点など、VERDYのルーツに迫った。

インディーズも含めると100バンドのTシャツやフライヤーを描いた

emma:

2018年に私のカレンダーでコラボさせてもらった時が初対面で、それ以降もカレンダーを一緒に作らせていただいたり、仲良くさせていただいていますけど、そもそもいつからデザイナーのお仕事をされていたのかとか、細かい話は聞いたことがなかったですよね?

VERDY:

そうですね。仕事自体は2007年からで、ライブハウスのマンスリースケジュールの表紙の絵をまだ専門学生だった時に描いたのが最初で、その時のギャラがライブハウスのドリンクチケット20枚でした(笑)。だから最初は、バンドもののデザインがほとんどでした。ファッション系のデザインをしたいと思っていたけど大阪に住んでいて、やっぱりファッション系って東京がメインだからチャンスもなくて。ずっとバンドもののお仕事をしていました。それで、インディーズも含めて100バンドくらい描きまくったんですけど。

emma:

すごい!

VERDY:

でも描きすぎて、もともと自分がやりたかったのはどういうものなのか悩んでしまって。それをきっかけに、自分がやりたかったことを見つめ直して、東京に出て自分のプロジェクトをスタートさせました。でも、大阪は家賃が安いから生活できていたけど、東京には仕事があって出てきたわけではなくて、何のあてもなく何となくだったから。

emma:

結構チャレンジャーな感じでしたね。

VERDY:

ギリギリの生活でした。だからちゃんとグラフィックデザイナーになれたのは、emmaちゃんと知り合う少し前からかなと思っています。

ベッカムからインスタをフォローされた

emma:

VERDYさんと言えば「Girls Don't Cry」とバックプリントされたTシャツが有名ですけど、L.A.にいるVERDYさんの仕事のパートナーのパウロさんのインスタで、「デビッド・ベッカムが着た!」ってすごいテンションであげているのを見つけて驚きました。私もサッカーが好きだから、その写真を見て「ヤバ!」ってめちゃめちゃテンションが上がりました。

VERDY:

実を言うとベッカムはその前から着てくれていて、ちゃんと写真で出たのが初めてだったんです。パウロもemmaちゃんと同じでサッカーが好きだから、ベッカムが着るたびにテンションがあがっていて、NBAの試合を観戦している時の写真がすごくいいから、「載せていい?」って連絡が来て「全然いいよ」って。

emma:

それでだったんですね。じゃあプライベートでは着ていたんだ。

VERDY:

そうですね。それもemmaちゃんの時と同じように、普通にベッカムからインスタをフォローされたんです。

emma:

ええ〜すごい!

VERDY:

僕も「え!?」と思って、最初はニセモノだと思った(笑)。それで相互フォローの期間が続いていたら、ふとDMが来て。「どこで買える?」みたいな。それから普通にやりとりをするようになって。実は日韓共催のワールドカップがあった時に、長居陸上競技場の前まで行ったことがあったから、僕もすごく嬉しかったし、うちの親もテンションがあがっていました。

「Girls Don’t Cry」のTシャツは妻へのプレゼント

emma:

私自身はもともとロゴものと言うかグラフィック系のデザインの服は買ったことがなかったんですけど、「Girls Don't Cry」のロゴを見た時、初めて感じたと言っていいくらいの衝撃で、ハートを撃たれたというか。男女どちらが着ても可愛いし。このデザインには、奥さんにいつも笑顔でいて欲しいというメッセージが込められていると、何かで読んで、それもすごく素敵だと思ってより好きになったんです。

VERDY:

ありがとうございます。自分がデザインした何かを生み出す時の強さと言うかスタイルが、自分の思っている言葉をメッセージにしたりイラストにしたりというもので。それで、自分の身近でずっと支えてくれている妻に笑顔でいて欲しいという気持ちで、妻が欲しいと思うものを作るというところから始まっているんです。

emma:

すごい素敵! 世の男性みんなに聞いて欲しい(笑)!

VERDY:

そもそもは、妻にプレゼントしようと思って作ったTシャツなんです。Tシャツって1枚作るのも30枚作るのもあまり変わらないから、最初に30枚作って。それでストリートブランドのCarrotsとのコラボのためにL.A.に行く時に持って行ったら、妻が着てくれていた「Girls Don't Cry」のTシャツを見た人がほしがって、そのお店で売らせてもらったのが最初です。

「Girls Don’t Cry」に込めた真のメッセージ

emma:

奥さんの存在って、キーポイントという言い方でいいのか分からないけど、すごく大きいんですね。2人で支え合っている感じがします。改めてVERDYさんにとって「Girls Don't Cry」はどんな存在ですか?

VERDY:

「Girls Don't Cry」だけじゃないけど、すごく大切なプロジェクトです。10年経っても20年経っても自分が好きなプロジェクトであって欲しいと思っているので、無理して販売したりとか、最初のコンセプトからずれた活動はしないようにしていて。本当に大切な、1個の作品みたいに思っています。

emma:

大量生産していないのが、すごく素敵だなって思います。去年、伊勢丹にポップアップストアを出店された時も、サスティナビリティの素材を使っていて、それもすごく良かったです。

VERDY:

あれ以降は、全部エコを意識した再生可能なものにしています。特に「Girls Don't Cry」は僕のプロジェクトの中でも数多く作るので、そこはすごく心がけています。

emma:

いろんなところで聞かれていると思いますけど、「Girls Don't Cry」という言葉は、奥さんに宛てたメッセージの他に、何か意味があったりするんですか?

VERDY:

最初に作ったきっかけとしては、妻はいつもすごく明るいんですけど、ちょっと嫌なことがあって落ち込んでいた時期があって。その時に「Girls Don't Cry」という言葉を思いついて。「泣かないで」という意味だけど、笑顔でいてほしいという気持ちで作ったんですね。僕の中ではそういう意味だけど、言葉自体はアメリカ人やイギリス人が見ても分かりやすいし、着る人に笑顔でいて欲しいという気持ちで誰かにプレゼントして欲しいというのもあるし。着ることで、強い気持ちが持てると思って着てもらってもいいし。言葉のままで、いろんな意味をそれぞれの人が感じてくれたらいいなと思っています。

emma:

まさに私、落ち込んだ時や気持ちが「ム〜ッ」てなった時に、「Girls Don't Cry」のTシャツを着ていました。自分を奮い立たせたいと言うか、「女だって強いんだぞ!」みたいな気持ちの時に、自然と着ていて。テンションがあがって力が湧いてくる感じがあって。この文字の持つ力ってすごいなって思います。

VERDY:

良かったです。まさしくそういう気持ちで着て欲しいと思っているので。

emma:

今回はお友達が来てくれたということで嬉しかったし、ラジオに出演された経験があまりないということで緊張されていたんですけど。今日来ていただけて、本当に光栄でした。何度もお会いしているけど、「Girls Don't Cry」とは? という詳しいところまで話をしたことがなかったので、いろいろ心温まるお話を聞くことができました。

VERDY
VERDY
1987年、大阪府生まれ。東京に出てきたのは2012年ごろ。イラストレーターやグラフィックデザイナーを抱えるデザイン集団VK DESIGN WORKSに所属し、2015年ごろから「Girls Don’t Cry(ガールズドントクライ)」や「Wasted Youth(ウエステッドユース)」などの大人気プロジェクトがきっかけとなりその名を世界に広めた。現在の東京のストリートシーンを語る上で欠かせないグラフィックアーティスト。2018年よりペインティング・彫刻作品も制作開始、11月19日から「Kaikai Kiki Gallery」で個展が開催される。

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