Topo Chico Hard Seltzer presents『Syndicate Radio』は、「決めつけないのがルール」を合い言葉に、新しい挑戦をしていく実験的なラジオプログラム。
自由な価値観で新しい企てをする仲間が繋がれる秘密基地として、番組DJのemmaが、毎週様々な価値観を持ったゲストを招いて、トポチコ ハードセルツァーを飲みながら、多彩な話題でゲストの素顔を引き出していく。
先週に引き続きファッションブランド「TOMO KOIZUMI」のデザイナー・コイズミトモタカを迎えてトークを展開。ブランドのモットー、伝えたいこと、コロナが収束したらやりたいこと、METガラ2021の感想など、コイズミトモタカの考え方に迫った。
ボリューミーでありつつスタイルがよく見えるのがポイント
「TOMO KOIZUMI」のブランドとしてのモットーはありますか?
カワイイことは重要で、あとは面白いとか見て笑顔になれるということは重視しています。逆に格好よさには興味がなくて。結果的に格好よくなるのはいいけど、格好よくしようと思って作ることはないです。
カワイイを追求していくみたいな。
そうですね。自分の美意識はそこに向いています。
制作する際に心がけることは何ですか?
今年でブランドを始めて10年になるんですけど、もともとは衣装デザイナーのお仕事をやっていて。今も頼まれれば作るんですけど。日本とかアジア圏の歌手や女優の、ライブ衣装やミュージックビデオで着る衣装を作ってきて。“ボリューミーでありつつスタイルがよく見えるように”ということは、衣装デザインの時は特に気にしますね。ただ大きいだけのドレスだと、ただ面白いだけになってしまって。何て言うか、着ぐるみみたいになっちゃって。スタイルよく見えるように、ウエスト部分はフリルを付けずにシェイプしたりとか、腕の部分にちょっとだけフリルを付けて、視覚効果で腕が細く見えるようにしたりとか。
作品にもよると思いますけど、ドレスを1着作るのにだいたいどれくらいお時間がかかるんですか?
大きいドレスだと3週間から1カ月くらいかな。
すごい! もっと3カ月くらいかかると思ってました。
ブレずにいるのは難しいけど大事
ブランドを通して、世の中や人に伝えていきたいことはありますか?
最近ちょっとずつ始めている活動があって、若手のデザイナーの支援をやっていて。自分もいろいろなチャンスをいただいてここまで来たので、そのチャンスを循環させていきたいと思っていて。10年後の自分はエッジーなデザイナーではなくなっていると思うので、そういう時に自分が見たいものを作ってくれる人を育てたいと思っていて。あとはファッションが産業としてしか捉えられていない部分があるので、もっと文化として扱えるファッションというものもあるんじゃないかと思って、それを提言していきたいと思っている部分はあります。美術館で展示されるようなファッションだったり。みんなの認識がもう少し広がってくれたらいいなと思っています。
ビジネスという部分で、何歳くらいの年齢層に響かせたいとか、ターゲット層ってあると思うんですけど。私はそれを考えるのが苦手というか難しいなと思っていて。ターゲット層に関しては、どんな風に考えていますか?
どうなんだろう(笑)。さっき言ったみたいに、カワイイものが好きな人とか、年齢で区切るのではなく、好みで考えるというか、好きなものが合う人に響けばいいなと思っていますね。格好いいものが好きな人は、自分のものは理解してもらえないかもしれないけど、万人に好かれる必要はないと思っているので。
すごい分かります。
自分のものを好きと言ってくれる人が、世界中にいたらすごい人数になると思うので。そういうものを目指してやりたいなと思っています。
ブレない心が大事ですね。
ブレずにいるというのは難しいんですけど、でも続けていかないと伝わらないし。続けることが、いちばん大事かもしれないです。
コロナが落ち着いたら行きたいのはL.A.
今はショーをやるにもケアが必要だったり、いろいろな制約もあって。コロナが落ち着いたら、ブランドとしてまず何をやりたいですか?
実際に撮影の現場に行きたいですね。コロナ前は月2回は海外出張に行っていて、ニューヨークに行った2週間後にロンドンで撮影したり。めっちゃ忙しかったんですけど、今はそれも懐かしく思えたりします。自分の好きなモデルやフォトグラファーと、実際に会って仕事をするのはすごく楽しいので。
海外行きたいですよね〜!
行ってた時は、飛行機が長いし大変って思うんだけど、行けなくなると「いつ行けるのかな〜」って。emmaちゃんは、どこに行きたい?
どこだろう? 私もコロナ前は月1回は仕事でもプライベートでも行っていて、年に2回パリコレのショーを見に行かせてもらっていたので、パリには行きたいなって思いますね。そこがインスピレーションの源だったりすることが多いので。TOMOさんは、どこに行きたいですか?
行ったことがないけど行きたいところがあって。L.A.に行ったことがなくて。
え〜! すごく意外です。
ニューヨークには4〜5回行ってるんですけどね。来年は海外のセレブリティの衣装の仕事をやりたいと思っていて、そうなるとL.A.がベースになるので。L.A.に行かなきゃいけないなと思っているうちに、コロナ禍になっちゃったので。
ニューヨークで開催したショーはInstagramがきっかけ
METガラ2021は見ましたか?
もちろんチェックしました。2年半ぶりだから、みんな気合いが入っていて。やっぱりキム・カーダシアンがすごかった。
バレンシアガの衣装でしたけど、あれはズルいなって(笑)。
裏をかいたって言うか、「それをやる?」っていう
でもファッションを自由に楽しんでいて。私たちももっと自由でいいなって、すごく背中を押されました。TOMOさんの衣装もMETガラに登場していましたね。
2019年ですね。タイ人のニチャパット・スップハップにオーダーしてもらって。彼女とは、今は友人としてお付き合いさせていただいています。
どういう経緯だったんですか?
メールをいただいたんです。
直接本人から?
そういうことって、結構ありますよ。InstagramのDMに送られてきたり。
Instagramってすごいですね(笑)。
自分がニューヨークでショーを行ったきっかけもInstagramだったんです。Instagramにドレスの写真を載せたら、リポストされて、ショーをやらせてくれたスタイリストから連絡が来て、その1カ月後にはもうショーをやっていました(笑)。
2週にわたりいろいろお話を聞かせていただいたのですが、私も思うことがたくさんあって、ファッションには正解がないと今日確認しました。軸をブラさず、自分のことを大事にしながらブランドを成長させてきたお話を聞いて、私もモデルをやらせていただいているので、とても刺激的な時間になりました。TOMOさん自身がすごくピュアな方で、ピュアさってすごく大事だなって思ったし、私自身も忘れないようにしようと思いました。とっても楽しい濃密な時間でした。
- コイズミトモタカ
- 1988年生まれ。千葉県出身。幼い頃から独学で洋服を作り始め、コスチュームデザイナーのアシスタントを経て、千葉大学在学中にオリジナルブランド「TOMO KOIZUMI」設立。
2019年、自身初のファッションショーをニューヨークで開催。同年、毎日ファッション大賞選考委員特別賞受賞、BoF500選出。2020年、LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ優勝者のひとりに選ばれる。コレクションピースの一部は、ニューヨークやメルボルンの美術館に所蔵されている。
2021年、東京五輪開会式にて、国歌斉唱をしたMISIAの衣装を担当した。
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