ビジネスフレームワークとは、新規事業や起業を効率的に進めることができるツールです。アイディア出しからマーケットの調査や分析、ビジネスモデルの立案、事業スタート後の修正・改善など、それぞれの業務フローに適したビジネスフレームワークがあります。
一定の枠組みを使用するため、情報整理や分析がしやすく、問題点を可視化することができます。また、思考を図式化できるためメンバーとの共通認識が容易であることも大きなメリットです。
今回は、新規事業や起業におすすめのビジネスフレームワークをご紹介したいと思います。プロセスに応じて効果的なフレームワークを活用して、事業を成功させましょう。
論理的思考をおこなうためのフレームワーク4選
論理的思考とはロジカルシンキングともいわれていて、ビジネスモデルを構築するさいに重要になります。物事の順序に沿って矛盾がないように考えるためのフレームワークをみてみましょう。
MECE(ミーシー)でモレやダブりをなくす
MICE(ミーシー)は倫理的思考方法のひとつで、重複や漏れをなくすことで正確な判断をすることができます。全体像から細かい要素に分類していくトップダウンアプローチと、ブレインストーミングのように細かい要素から全体像をまとめていくボトムアップアプローチの思考方法があります。
たとえば、「売上げ」という全体像に直接繋がる要素は成約数と購入単価ですが、成約率や訪問者数、新規顧客数、リピート顧客数など、さらに細かく分類できます。売上げを増加するためにどの要素を改善していけばよいのか明確にしていくことが目的です。
ロジックツリーで問題点や解決策を可視化
ロジックツリーは、MICE(ミーシー)で分類した要素を木の枝のように図式化したフレームワークです。これまで分からなかった問題点や原因を特定したり、解決策や改善策を見つけたりするのに役立ちます。
原因を究明するためには「Whyツリー」を作っていきます。たとえば、成約数が悪いのはなぜか、その原因をひとつひとつ洗い出していきます。また、問題を解決するには「Howツリー」で、解決や改善するためのアプローチの方法を図式化します。
5W1Hは情報整理に有効
5W1Hとは、What(何を)・Who(誰が)・When(いつ)・Where(どこで)・Why(なぜ)・How(どのように)を意識して、アイディアを出したり、情報を整理したりするフレームワークです。必要な情報が網羅されているので伝わりやすいのが特徴です。業務報告やプレゼン、事業計画、マーケティング、企画書などを提案するさいに効果的です。
また、費用や時間、労力といったものが重要になる場合には、How much(いくら)を含めて5W2H、Whom(誰に)やWhich(どちらに)を含めて6W1H、7W2Hなどもあります。
ピラミッドストラクチャーで説得力のある根拠を
ピラミッドストラクチャーは、ある主張に対する根拠を複数洗い出して、ピラミッド構造に要素を図式化して配置していきます。説得力を持たせるための材料作りともいえます。たとえば、新規事業を成功させるための根拠を集め、さらに証拠となるエビデンスを構築していきます。資料作成やプレゼンなどで有効なフレームワークです。
顧客・マーケットなど環境分析におすすめフレームワーク3選
ターゲットとなる顧客の絞り込みや、マーケットの分析ができるビジネスフレームワークもおすすめです。自社の立ち位置を明確にして、効果的なアピール方法を確立していくことができます。
PESTでチャンスとリスクを分析
PEST分析は、自社に影響を与える外部のマクロ環境に対応するためのフレームワークです。政治(political)・経済(Economical)・社会(Social)・技術(Technological)の4つの視点から分析します。
政治:法律や法改正、政権交代、税制など
経済:景気や物価、消費行動、雇用情勢など
社会:人口やライフスタイル、教育、社会問題など
技術:IT技術やIoT、ビッグデータ、クラウドなど
外的要因からどのくらい市場チャンスがあるのかを把握し、また、危険リスクに対してどう対応するか経営戦略を立てていきます。
AIDMAで消費者の意思決定を分析
顧客がじっさいに消費行動をおこすには、意思を決定するまでのプロセスがあります。①認知(Attention)→②関心(Interest)→③欲求(Desire)→④記憶(Memory)→⑤行動(Action)です。消費者のモチベーションを分析することで、それぞれの段階で効果的なアプローチの仕方を設定できます。
また、AISASは、AIDMAのモデルをインターネットによる消費行動に当てはめたものです。①認知(Attention)→②関心(Interest)→③検索(Search)→④行動(Action)→⑤共有(Shere)となります。
STPで自社の立ち位置を明確にする
STPとは、市場を細分化して狙うべきターゲットを絞り込み、自社の立ち位置を明確にするフレームワークです。市場細分化のことをセグメンテーションといい、顧客の年齢や性別、世帯構成、居住地域、特有のニーズなどを分類していきます。その中から、自社の商品やサービスにあったターゲティングをおこないます。消費者目線で分析することが重要です。
さらに、自社の立ち位置を明確にするポジショニングでは、競合他社と比較することを意識します。価格や店舗数、品質などいくつかの指標をもとに、自社の強みをどうアピールするか決定することができます。
自社ビジネス・プロダクトの状況整理や分析ができるフレームワーク3選
自社のビジネスチャンスがどのくらい見込めるのか、あるいは外的脅威に対してどんな戦略を立てるのか分析することも大切です。おすすめのフレームワークをみてみましょう。
SWOT分析でビジネスチャンスを発見
SWOTは、自社の内部環境と外部環境を把握することで、ビジネスチャンスを発見するためのフレームワークです。内部環境は自社の強み(Strength)と弱み(Weekness)、外聞環境は機会(Opportunuty)と脅威(Treat)に分類し、それぞれ該当する要素を洗い出します。外部環境は政治的動向や経済、社会情勢、技術などで、上記に述べたPESTのフレームワークと同じ視点です。
自社の強みだけでなく弱みへの改善策を模索できることや、外部環境も視野に入れることで客観的な分析ができます。また、クロスSWOTといって、強み×機会だけでなく、強み×脅威、弱み×機会、弱み×脅威について分析すれば、あらゆる状況において対応できる経営戦略が立てられます。
3C分析は多角的な視野から要素を抽出
3C分析とは、顧客(Customer)・競合(Competitoe)・自社(Company)の3者の視点から、事業計画やマーケティング戦略を決めるフレームワークです。顧客の分析は、PESTのようなマクロ分析と、特定の業界が自社に与える影響を考察するミクロ分析を用います。
マクロ分析のなかでも、5フォース分析というフレームワークが有名です。新規参入の脅威・業界内の敵対関係の強さ・代替品の脅威・買い手の交渉力・売り手の交渉力について分析します。顧客・競合分析をして、外的要因から成功要素を抽出します。また、自社の分析にはクロスSWOTを用いると、自社の強みと弱み、チャンスとリスクが明確になります。
4P分析は商品やサービスをどう売るか分析
4P分析とは、自社の商品やサービスありきのフレームワークです。次の4つのポイントから具体的なマーケティング戦略を立てます。
・商品・サービス(Product):顧客ニーズを満たす商品か、どんなベネフィットがあるのか商品のコンセプト設定やターゲティングなど
・価格(Price):市場の標準価格や、競合他社の商品価格と比較して妥当な商品価格を設定する
・販売場所(Place):商品の特性や消費者の行動パターンを考慮して、顧客が購入しやすい場所を設定します。流通経路についても。
・販売促進(Promotion):自社商品を認知してもらい、販売を促進する方法を決めます。最近では、顧客と直接コミュニケーションができるSNSを活用することも有効です。
まとめ
ビジネスフレームワークとは、ビジネスにおける情報や思考、状況を分かりやすく体系化したものです。分析のための枠組みが決まっているので、効率的に事業立ち上げやマーケティング・経営戦略を立てることができます。
今回は、論理的思考をおこなうためのフレームワーク、顧客・市場など外的環境を分析するフレームワーク、そして自社のビジネス・プロダクトの状況整理や分析ができるフレームワークをご紹介しました。場合によっては、複数のフレームワークを用いるとより効果があがります。事業の各プロセスにおいて最適なビジネスフレームワークを活用しましょう。
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