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起業前に知っておきたい「起業で成功する力」3人のカリスマ経営者インタビュー

「起業したいけど、起業するにはどうしたらいいんだろう?」

「自分は普通の人だから、起業して成功するような能力や強みを持っていない…」

起業や独立を考えたことがある方は、誰もが一度は、こんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。また、このような自問自答で、自信を無くしたり、恐怖感を持って、起業や独立の道を諦めてしまう、という人も少なくないでしょう。

今回の記事では、そんな起業や独立を考えている人、または、何かのビジネスで大きな成功を収めたいと考えている方にとって役立つ「起業で成功するために必要な力」という話を、3人の起業家インタビューをもとにご紹介していきます。

普段はのぞくことができない、起業家の頭や心の中を知れるという貴重な内容です。皆さま、ぜひ、最後までお楽しみください。

・ゼロイチ起業は3つの力をかみ合わせる(Voicy緒方社長)

・事業を成長させていくには視点をあげながら基本をこなす(転職アンテナmotoさん)

・失敗を忘れることで新事業を生み出すことができる(ベーシック秋山さん)

ゼロイチ起業には「価値を創造する力」「巻き込む力」「楽しむ力」の3つの歯車をかみ合わせる-Voicy緒方さん

公認会計士などを経て、日本初の音声プラットフォーム「Voicy」を創業した、緒方憲太郎さんのお話しです。

ゼロイチ起業に必要な、「価値を創造する力」とは

ビジネスには、お金を稼ぐためのものと、世の中に変化や価値を生むためのものがあります。僕は、もともと、会計士として、いわゆる「お金を稼ぐための仕事」をしていました。しかし、今は、社会的な価値を生むビジネスをしています。つまり、誰かの懐にあるパイを奪うのではなく、いままでにはないビジネスを作って、社会のパイ自体を大きくしようとしています。

大前提として必要になるのが「価値を創造する力」、つまり、世の中の人が喜ぶサービスを作り出す力です。

多くの人は、自分の周りにいる人をどう喜ばせたらいいか、あまりわからないと思います。自分の家族が、いま欲しいものを明確にわかる人は少ないのではないでしょうか。ましてや、他人がどんなことで喜ぶかなんて、思いもつかないでしょう。

たとえば、人があつまる公園があるとして、そこに何を持っていけば人は喜ぶのか。屋台のようなものを作ったらいいのか、ボールを持ってくるだけで楽しんでもらえるのか。

そういう人を喜ばせるものを考えられるのが価値を創造する力です。その力がないと、そもそもビジネスをはじめることが出来ません。

ゼロから事業をグロースさせるために必要な「巻き込む力」とは

では、人が喜ぶ事業を作れたとして、次は何が必要になるのか。

それは、その事業を一緒にやってくれる人です。自分の事業にどんどん人を巻き込んでいく「巻き込む力」が2つ目に必要な力です。

僕がVoicyを始めた当初は、誰も知らないサービスでしたが、西野亮廣さんや家入一真(CAMPFIRE創業者)さんが、初期の配信者になってくれました。

その拡大のきっかけは、僕が家入さんに「家入さんが話すところ、絶対みんな聞きたいと思いますよ、とりあえず一回やってみてください」と誘ったところからでした。

その家入さんの配信を聞いて、アルファブロガーのはあちゅうさんも配信してくれるようになりました。すると、ブロガーがしゃべると声がかわいいとか、聞きやすいと評判になって、多くの配信者が入ってきてくれるようになりました。

Voicyは西野さんや家入さんなどの著名人にどれだけお金を積んでいるのか、とよく聞かれるんですが、僕は彼らに、配信してもらうためのお金を払ったことはありません。 

僕らが大事だと考えているのは、配信者に、配信をやりたいと思ってもらい、やってよかったと思ってもらうことです。

そのためにVoicyの配信のメリットを明確化しています。世の中に発信するメディアの中で、最も低労力、低コストで出来るところです。どんなに忙しい人でもちょっとの隙間時間で出来ます。忙しくて魅力的な人ほど、それが刺さるんだと思います。 

このように、「巻き込む力」は最初の積極的な声かけから始まり、サービス自体が参加者にもたらす便益といったもの必須です。人が集まれば集まるほど、その便益の設計に対して手を抜くことは許されません。

つまり、人の便益を向上させる「価値を創造する力」は、サービス設計の最初だけではなく、それを維持していく際にも必要なのです。

多くのヒトを集める「楽しむ力」とは

最後に必要な力は「楽しむ力」です。社会的な価値は作った、ほかの人も巻き込み、サービスが広がりつつあるとなったら、あとは自分が楽しむことです。楽しんでいる人を見ると、人は一緒にやりたいと思うものです。

なので、僕自身が自分のサービスであるVoicyを一番使っていて、音声配信の世界はこんなに面白いんですよ、こんなに喜んで聞いてくれる人がいますよ、あなたが入ったらもっとすごいですよと、配信候補者に、日々、伝えています。

起業は苦だとか、我慢とハードシングスばかりだとか言われますけど、そんなこと、言ってやっている人はいないですよね。

本人が楽しそうにやっているから、その楽しむ力で人を巻き込む力が生まれて、自分の作っている価値創造も広がっていくことになる。3つの力は連動するのです。

事業成長に必要なのは、「信用力」「営業力」「俯瞰力」-転職アンテナmotoさん

新卒でホームセンターに入社し、リクルートなど複数社へ転職し、会社員をしながら運用していたWebメディア「転職アンテナ」を上場企業に10億円で売却した、motoこと戸塚俊介さんのお話です。

ビジネスにおける「信用力」とは

信用力とは、クレジットカードと似ていて、その人にどれだけ信頼があるかというものです。クレジットカードは、借りたお金を期限内にきちんと返すことで信用力が増えていきます。逆に期限通りに返さないと、信用力は減ってしまいます。約束を守ることが大切です。

これはビジネスでも同じで、約束を守ることが信用を生みます。言われたことをきちんと約束通りにやることで、「あの人に任せておけば大丈夫」という信頼が積み上がっていきます。

その積み重ねが「あの人に任せてみよう」と、新しい仕事の機会に繋がります。日々の仕事の中で信頼残高を積み上げておくことが、後々の仕事においてはとても大切な要素になるのではないかと思います。

当たり前だけど、やはり必要な「営業力」とは

営業で重要なのは、場数を踏むことに尽きます。数当たっていくうちにヒントも生まれますし、精度の高いところへ営業リソースを凝縮することもできます。量が質に転化していくみたいなことです。そのためにはやはり、総当たりが必要だと思います。

この営業姿勢の次に必要なのが、「相手の役に立つこと」を考えることです。どんな課題があって、その課題にどのように貢献できるかを考えます。昔の上司が「お金というのは、『ありがとう』が形になったものだ」と言っていましたが、まさに僕もそう思っています。価値提供ができなければお金になりません。

今も、転職系の大手企業に電話をして、「御社のビジネスフローのここに僕が入ることで、こんな価値が提供できます」と伝えながら売上を作っています。営業力こそ、ビジネスには欠かせないと思います。

ビジネスの視点をひとつ上げる「俯瞰力」とは

俯瞰力は、ビジネスの構造を知るために必要な力です。俯瞰力がないと、ビジネスフローの中のどこでお金を取ってくるかを考える営業力も発揮できません。

会社員をやっていると特に「部長にどう思われるのか」とか「自分がいまやっている仕事は評価されるのだろうか」と、内向きなことに目が行きがちです。

しかし、そうではなく、もっと引いた視点で考えることが大切です。「会社としてどこへ向かっているのか」「業界の中でうちの会社の立ち位置はどうか」「業界全体がどこに向かっているのか」など、社外に視点を向けることが大切です。

さらには「日本ではどうだけど世界ではどうなっているのか」と、自分の目線をどんどん引き上げていくことで、自分の俯瞰力は高まっていくと思います。

俯瞰して分かることはたくさんあります。全体の状況を知って仕事をするのと、何も知らずに目の前の仕事だけやるのでは、成果を出すプロセスなどが全然違います。自分の頭で考えるためにも、この視点を持つことが大切です。

ビジネスモデルを連打するには「勘違い力」「忘却力」が必要-ベーシック秋山さん

ベーシック秋山さんは、これまで70個もの事業を立ち上げられた起業家。そのうち10個は上場企業などに売却されたとのことで、その比類なき挑戦を続ける起業家のマインドセットを伺っています。

数々の挑戦を支える「忘却力」とは

起業家人生というのは挑戦の連続であり、当然、失敗もあります。失敗した後は、気持ちを切り替えるためにも、「失敗なんて忘れちまえ」という「忘却マインド」をもっておくことが大切です。「忘れよう」と実際に口に出して自分に言い聞かせ、意識的に忘れます。

実際に、僕がもっとも忘却力を発揮したのは、社員の半分以上を3カ月くらい動員した壮大な事業で盛大に失敗したとき。

その事業は、自信あり、社内でも偉そうにプレゼンしていた結果の大ゴケで、本当に恥ずかしすぎて、忘れ去らなければ前に進めないと思いました。

失敗を忘れられず、頭の中にちょっと残っていると、別の意思決定に影響します。新しいアイデアが浮かんでも、他人に説明するときには言葉が弱くなって、「これ、いける」ではなく、「こんなことができると思うよ」みたいになってしまうのです。そうなると事業の火はつきません。

この失敗をしたのは、起業してから比較的まだ初期の段階で、しばらく引きずっていたのですが、いろいろなところで悪影響が出ていることに気づいて、失敗を引きずるのは良くないなと痛感し、その反省をもとに、忘却力は大事だと思うようになったのです。

失敗したらすぐに忘れて、「何の話だっけ」くらいに忘れていいと思います。社員に、「社長はあんなに大失敗したのに忘れているのかな」と思われても全然かまいません。

大事なことは、失敗で何を学んだかです。それは忘れてはいけないし、別の形でちゃんと残すべきですが、単に、盛大にコケたみたいなことを覚えていても、いいことはありません。いらぬネガティブイメージを持つことに意味はありません。

一歩を踏み出す後押しとなる「勘違い力」とは

新しい事業はうまくいかないことの方が多いですから、ロジックだけで言えばやらない方がいいことが多い。それを始めるためには、ある程度、信じ込んだり、勘違いしたりすることが必要です。

自分が起業するとき、「なんで起業するの、20社に1社ぐらいしか生き残らないらしいよ」と同僚に言われました。そのとき思ったのは、起業で生き残るかどうかは、別にサイコロを振って決まるわけじゃない、1/20に残る選択を自分ができるかという挑戦なんだ、ということでした。

勘違い力は、鍛えるというよりも、スイッチングで発揮できるものだと思います。普通の人も、大なり小なり、普段から勘違いをして生きています。たとえば、客観的にはイケメンではないと言われても、自分はイケメンだと思っている人もいます。その逆もまたあって、パートナー選びは大なり小なり、勘違いで選ぶものなのかもしれません。

普段からそうなのに、いざ起業となると、なぜ勘違いができないかというと、人の意見に耳を傾けすぎるからでしょう。そういうときにスイッチを切り替えて、「人はそう言うかもしれないけど」と、軽く流せるかが大事になると思います。

起業というのは、どちらかといえばマイノリティの方向に進んでいくことなので、すごく怖いことで、その一歩を踏み出す怖さを乗り越えるには、大いに勘違いすることが必要なのです。


今回は、各分野でご活躍されている3人の起業家の方々が考える「起業に必要な力やマインドセット」をご紹介しました。

InterFMラジオ「ビジプロ」では、毎回、起業家の方をお招きし、ビジネスのエッセンスや成功に必要なマインドセットなどをインタビューしています。

実際に、起業家が話している雰囲気や温度感と共に、起業家から語られる貴重なお話を楽しみたい方は、ぜひラジオもお聴きください。

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