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起業家(株主)はどこからリターンを得るのか?キャピタルゲインや株式上場(IPO)、M&Aによる売却などを解説

株式によるリターンの種類には何がある?「インカムゲインとキャピタルゲイン」について


起業しようとしている方の大きな関心事の1つとして「いつ、どこでどうやってリターンを得るのか」というものがあると思います。事業がうまくいかなければ、収入がゼロになることも考えられますし、何より、自分でゼロから事業を立ち上げていく過程には、とてつもない困難、苦難が待ち受けていることも多々あるでしょう。そういった、リスクや困難に見合ったリターンを期待するというのは、当然のことだと思います。そこで、「いつどうやってリターンを得ることができるのか」その仕組みをしっかりと理解して、起業する際に事前に出口や計画を設計しておくのも良いかもしれません。そこで、まずは、「どうやってリターンを得るのか」という仕組みについての解説です。起業すると、自分の会社の株式を持つことになるでしょう。その際、株式からのリターンの取り方には、以下の2種類があります。

インカムゲインとは
インカムゲインとは、配当のことです。

キャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、株式を売却した際に得られる売買差益のことです。
起業家やベンチャー企業に投資する投資家で、インカムゲインによるリターンを期待している人は、ほとんどいないでしょう。ベンチャー企業の配当は額は、投資家や起業家が負っているリスクに対して、小さすぎるということが多いからです。そうすると、ベンチャー企業の株式保有者(起業家や投資家)がリターンを得る手段は、キャピタルゲインということになります。キャピタルゲインは、保有している株式を売却した際に発生します。なぜ発生するかというと、例えば、会社の株式を100%保有している(借入や外部資本なし)として、資本金として100万円を出資し、3年後に、行っている事業の価値(借入無しのため=時価総額)が1000万円になっていると、売却時に、9900万円のキャピタルゲインを得られる、といったような仕組みです。
この、保有株式を売却することを、「エグジット」と呼びます。

キャピタルゲインの獲得方法「IPO(株式上場)とM&Aエグジット」


IPO(上場)とは
IPO(株式上場)とは、マザーズや東京証券取引所のような証券市場に、株式を公開することを言います。

証券取引所に上場するということは、市場において、いつでも株式を売り買いできるということです。上場後に市場で株式を売却する際、株価が、非上場に投資したときより上昇していれば、その分キャピタルゲインを得られるという仕組みです。

M&Aで会社を売却する
一昔前までの日本では、M&Aというと、身売りや乗っ取りといったネガティブなイメージを持つ人も少なくなかったかもしれません。ただ、今はもうM&Aは、大企業においては非常に重要な成長戦略の1つとなっていますし、起業家や投資家にとっても、メジャーなエグジット手段です。
本当に売ることができるのか、そのような不安を抱える起業家の方は少なくないと思います。ですが、起業家の方が、しっかり時間をかけて作ってきた会社・事業は、衰退したり、大赤字を垂れ流しているというような状況でない限りは、市場でもそれなりの価値のあるものになるでしょう。誰が欲しいと思うのか、誰に買われるのか、それは、1つは「時間を買いたい企業」です。例えば、あなたが3年間かけて作ってきた組織や事業の周りで、同じ領域に新たに参入したい上場企業が出てきたとしましょう。ベンチャーは、上場企業などに比べて、スピーディな事業開発や適応力をもっているといえるでしょう。上場起業が、新しく、あなたの会社と同じ事業や組織を作ろうとすると、ここから5年や10年という時間軸を要する喪になる可能性があります。そういった場合、社内で新しく事業を開発していくより、あなたの会社を買収した方が早いのです。これが「時間を買う」という目的によりM&Aです。他にも、市場での支配力を強めるため、競合している企業から買収されるケースや、事業のシナジ-を見込んだ、周辺領域の事業を営む他社から買収されるケースなども想定できます。

IPOによるエグジットのメリット・デメリットとは


IPOのメリット
IPOのメリットは、株主にとってのメリット、企業へのメリットなのか、という点を分けて考えたほうが良いでしょう。
まず、企業へのメリットとしては、資金調達手段が多様化し、また、資金調達力も増大します。

株主へのメリットとしては、株式の流動性が増大し、公正な株価が形成されていくという点があります。

IPOのデメリット
IPOには、それなりの準備やリソース、そして費用が必要となります。

まず、必要最低限の年間費用として、年間上場料が50万円~450万円、監査法人や主幹事証券会社に支払う監査費用、株式事務代行手数料、成功報酬、コンサルティング費用などが、合計2,000万円~5,000万円、が必要です。
また、株主対策、インサイダー取引規制やIR等ディスクロージャ制度の充実化、などの管理項目の増加、やそのためのコスト、またこのような制約条件が増えることで、経営の迅速性や柔軟性が失われるといったデメリットも想定されるでしょう。

「M&Aについての解説」

M&Aによるエグジットのメリット・デメリットとは


M&Aのメリット
M&Aによるイグジットのメリットは、まず、IPOと比較して、成功する可能性が高い点です。
M&Aによるイグジットには、IPOで必要なような複雑な準備やコストは伴わず、FAや仲介会社を介して買い手候補企業を見つけ、買い手の交渉がまとまれば、それで終わりというシンプルなプロセスです。また、このM&Aによるイグジットのプロセスは、早ければで2~3カ月程度で完結することもあります。2~3年以上の準備期間が必要なIPOと比較しても、スピーディに進められるというのもメリットでしょう。
また、この際、上で述べたように、売却先となる買い手企業には、「時間を買う」「事業シナジーを創出する」というようなM&Aの目的がありました。そういった目的の下では、必ずしも、業績が好調で、大きく成長している企業、のみが買収対象であるわけではありません。そういった意味で、どんな会社にも売却できる可能性は大いにあるのです。

M&Aのデメリット
エグジット後(株式を100%売却後)、マネジメントから降りるケースや、継続してマネジメントに携わるケースがあります。後者の場合、既に株式はすべて譲渡しているので、経営に関する権限は小さくなります。基本的には、買い手の指示や計画に完全にしたがって経営していくことになります。

まとめ


今回の記事では、起業した後、どこからリターンを得るのか、という話をしました。もし、会社をこれから新しく立て、成長させていこうと考えている方は、いつまでにどのくらいの規模の会社に育て、どこからリターンを得る目標か、というのを一度考えてみてください。特に、株式上場を目指す場合は、かなり長い時間をかけて準備していく必要があります。
起業家、またはこれから起業しようと考えている方のご参考になれば幸いです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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