アイ・アール債権回収株式会社から突然通知や督促状が届いたら、驚きや不安を感じる方も多いでしょう。しかし、焦って対応すると不利益を被る可能性があります。アイ・アール債権回収は、債権を購入して債務者に返済を求める業者であり、必ずしも自分が直接契約した相手とは限りません。もし、身に覚えのない請求が来た場合や、過去の借金に関する通知を受け取った場合でも、一定の条件を満たせば「時効援用」を利用して債務を免除できるケースがあります。
この記事では、アイ・アール債権回収とは何か、連絡が来た際の正しい対処法、そして時効援用の手続きについて詳しく解説していきます。不安を解消し、冷静に対処するための知識を身につけましょう。
アイ・アール債権回収とは
アイ・アール債権回収株式会社とは
アイ・アール債権回収株式会社(IR Loan Servicing, Inc.)は、主に債権管理回収業務を行う企業で、アコム株式会社の完全子会社として設立されました。2000年6月27日に設立され、2001年6月22日に法務大臣から営業許可を取得しています(許可番号 第51号)。
本社は東京都千代田区麹町に位置し、資本金は5億2,000万円、従業員数は140名(2024年4月1日現在)です。同社は、債権の管理や回収を専門とし、金融機関や企業からの債権を引き受け、適切な手続きで回収業務を遂行しています。
商号 | アイ・アール債権回収株式会社 (IR Loan Servicing, Inc.) |
主要事業 | 債権管理回収事業 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町三丁目4番地 トラスティ麹町ビル7F |
電話番号 | 03-5215-6511(代表) |
設立 | 2000年6月27日 |
資本金 | 5億2,000万円 |
代表取締役社長 | 中川原 毅 |
同社は、アコム株式会社の完全子会社として、グループ内外の債権回収業務を担い、長年にわたり培ったノウハウと実績を活かして、債権者と債務者双方にとって適切な解決策を提供しています。
0368706850からの電話はアイ・アール債権回収です
突然「0368706850」から電話がかかってきた場合、これはアイ・アール債権回収株式会社からの連絡である可能性が高いです。この番号は、同社が債権回収の目的で使用している公式の電話番号の一つです。
アイ・アール債権回収からの連絡を無視すると、督促状や法的手続きに進むリスクがあるため、冷静に対応することが重要です。
しかし、電話に出た際にはすぐに個人情報を伝えないよう注意しましょう。
相手が本当にアイ・アール債権回収であるかどうかを確認するために、公式サイトや送付されてきた書類に記載されている番号に折り返し電話をするなどして、正確な情報を確認するのが安心です。
アイ・アール債権回収に身に覚えがない時は?
アイ・アール債権回収株式会社から突然の連絡を受け取ったものの、身に覚えのない請求だと感じる方もいるでしょう。しかし、慌てて対応する前に、まずはその背景を理解することが大切です。アイ・アール債権回収は、主に債権譲渡(他社から債権を購入して回収を行う業務)を通じて、債務者からの返済を請求する企業です。
以下では、そもそも「債権譲渡とは何か」について詳しく解説し、どういった仕組みで請求があなたに届くのかを説明します。
債権譲渡とは
これは、例えば金融機関やクレジットカード会社が回収が難しい債権を、債権回収業者であるアイ・アール債権回収に売却するケースです。以下のような理由で、債権が譲渡されることがあります。
- 長期間未払いの状態が続いている場合
- 債務者との連絡が取れないため、回収が困難と判断された場合
- 貸倒リスクを軽減するために、債権を他社に売却する場合
アイ・アール債権回収の主な債権者
アイ・アール債権回収株式会社は、主に以下の金融機関や企業から債権を譲り受け、債権回収業務を行っています。
- アコム株式会社
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消費者金融業界の大手企業であり、アイ・アール債権回収の親会社でもあります。
- DCキャッシュワン
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かつて存在した消費者金融会社で、現在はアコムに吸収合併されています。
- スルガキャピタル
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スルガ銀行の保証会社であり、同銀行の関連債権を取り扱っています。
- かんそうしん
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関西総合信用株式会社の略称で、信用保証業務を行っている企業です。
これらの企業から譲り受けた債権に基づき、アイ・アール債権回収は債務者に対して返済の請求を行っています。
放っておけば時効で解決できる?
アイ・アール債権回収から突然の通知や督促状を受け取ったとき、「もう何年も前の借金だし、放っておけば時効で解決するのでは?」と思う方も多いでしょう。しかし、債務は自動的に時効で消滅するわけではありません。確かに、一定の期間が経過すれば時効を主張する権利が生じますが、そのためには「時効援用」の手続きを行わない限り、法的には債務が残ったままとなります。
「時効援用」の手続きが必要
借金やローンの債務については、一定の期間(時効期間)が経過することで、債務者は支払い義務を免れる権利が生じます。
時効援用とは、債権者に対して「時効が成立したため支払う義務がない」と通知することを指します。
この手続きを行わなければ、時効が成立していても債務は法的に有効とみなされ、アイ・アール債権回収からの請求が継続する可能性があります。また、時効援用の手続きが遅れると、債権者が裁判所を通じて訴訟を起こし、強制執行されるリスクもあります。そのため、通知が届いた際には放置せず、まずは時効の成立を確認し、必要に応じて手続きを行うことが重要です。
時効期間を確認する
時効援用を行う前に、まず時効期間が経過しているかどうかを確認する必要があります。以下のように、債権の種類によって時効期間は異なります。
- 消費者金融やクレジットカードの借入:5年
- 個人間の貸し借りや商取引に関する債務:10年
ただし、注意が必要なのは、債権者からの請求や通知、督促状を受け取った場合や、債務者が一部でも返済を行った場合、時効がリセットされる可能性があることです。このようなケースでは、再度時効期間がカウントされるため、慎重に対応する必要があります。
時効援用の手続きを行うことで、過去の借金に関する請求から解放される可能性がありますが、確実に時効が成立していることを確認した上で行うことが大切です。放置するだけでは解決しないため、専門家への相談も検討しましょう。
時効援用をするとブラックリストに載る?
「時効援用」を行うことで、債務の支払い義務を免れることができますが、気になるのはブラックリストに載るのかという点です。
具体的には、信用情報機関に「債務の支払いが完了していない」として記録され、信用情報にネガティブな履歴が残ることになります。
時効援用を行うと、通常は「債務不履行」として記録されるため、その情報が一定期間(5年程度)にわたって信用情報に残り、新たなクレジットカードの発行やローンの審査に影響を与えることがあります。ただし、この影響は永続的なものではなく、一定期間が過ぎれば情報が消去されるため、一時的なものと考えてください。したがって、時効援用を行う際には、今後の信用取引への影響も考慮して決断することが重要です。
専門家に依頼するのが確実
時効援用の手続きを自分で行うことは可能ですが、専門家に依頼することが最も確実な方法です。時効援用には、法的な知識や正確な書類作成が求められ、手続きに不備があると時効の主張が認められないこともあります。さらに、債権者からの督促や交渉に対して適切に対応するためには、法律の専門知識が必要です。
債権回収業者はプロであり、時効援用の手続きを阻止しようとする場合もあります。そのため、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することで、精神的な負担を減らし、確実に時効援用が成立するようサポートを受けることができます。専門家に依頼する際の費用はかかりますが、手続きが確実に進む安心感や、今後のトラブルを未然に防ぐメリットを考えれば、十分に価値があると言えるでしょう。
【請求方法別】アイ・アール債権回収から請求が来た時の対処法
アイ・アール債権回収からの請求は、いくつかの方法で行われることがあります。突然の連絡に驚いて慌てることなく、請求方法に応じて冷静に対処することが重要です。
請求書が送られてくる
まず、郵便で請求書が送られてきた場合、多くの場合は支払いの確認や返済の催促を目的としています。このような書類には、債務の詳細や返済期限が記載されています。しかし、すぐに支払いや連絡を行う前に、以下の点を確認しましょう。
- 債権者名と契約内容が自分の記憶と一致しているか
- 債権が時効を迎えている可能性がないかどうか
「和解提案のご案内」に注意
特に、「和解提案のご案内」というタイトルの通知が届いた場合は要注意です。この書類は、支払いや和解案を促すもので、一見すると有利な条件に見えることがあります。
しかし、安易に連絡して和解に応じたり、一部でも支払いを行うと、それが債務の承認とみなされ、時効がリセットされてしまう可能性があります。
そのため、「和解提案のご案内」が届いても、まずは専門家に相談することをおすすめします。自身での判断で対応すると、思わぬ不利益を被ることがあるため慎重に行動しましょう。
支払い督促、訴状が送られてくる
支払い督促や訴状が裁判所から送られてくる場合、これは単なる請求書とは異なり、法的な手続きを踏んでいることを意味します。ここでは、より迅速かつ正確な対応が求められます。
- 支払い督促:支払いを求める法的な通知です。これを無視すると、強制執行手続きに進む可能性があります。
- 訴状:正式な訴訟が提起されたことを示します。この場合、放置すると裁判で敗訴し、最終的に給与差し押さえなどの強制執行に繋がるリスクがあります。
対応策としては、まず書面に記載されている期限までに必ず対応することです。無視せずに、専門家に相談し、必要に応じて時効援用を主張することで、支払いを免れる可能性もあります。
直接自宅に訪問がくる
稀に、アイ・アール債権回収の担当者が自宅に直接訪問してくるケースもあります。この場合、焦って自宅に招き入れたり、即座に支払いの約束をすることは避けるべきです。法律上、債務者の自宅に訪問しても構いませんが、強制的な取り立ては許されていません。
対応方法としては以下の通りです。
- ドアを開けずに対応するか、インターホン越しに応対しましょう。
- その場での支払いは絶対に行わない。
- 訪問がしつこい場合や恐怖を感じた場合は、消費者センターや弁護士に相談して対応策を確認しましょう。
亡くなった親の借金を請求されたときの対処法
親が亡くなった後、突然アイ・アール債権回収などから亡くなった親の借金を請求されるケースがあります。遺族としては戸惑いや不安を感じるかもしれませんが、ここでの対応次第でその負担を軽減できる可能性があります。
親の借金については、相続人に一定の義務が発生しますが、必ずしもすべての借金を返済しなければならないわけではありません。ここでは、親の借金を請求されたときの具体的な対処法について解説します。
相続放棄を検討する
親の借金を引き継ぎたくない場合、まず相続放棄を検討しましょう。
相続放棄を行うと、亡くなった親の資産だけでなく負債も含めて一切の相続を放棄することになります。相続放棄の手続きは、親が亡くなったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申請する必要があります。
ただし、相続放棄を行うと、親の財産も相続できなくなるため、慎重に検討してください。もし、相続放棄の期間が過ぎてしまった場合でも、時効援用の手段が残されています。
時効援用を検討する
亡くなった親の借金について、時効が成立している可能性がある場合は、「時効援用」の手続きを行うことで請求を免れることができます。
時効援用の条件
亡くなった親の借金も通常の債務と同じように、一定の期間が経過すれば時効が成立します。消費者金融やクレジットカードの借入の場合、通常は5年間で時効となりますが、途中で債権者からの請求や裁判所からの通知があった場合、時効がリセットされることがあります。そのため、正確に時効が成立しているかを確認することが重要です。
時効援用したい時の必要書類
時効援用を行うためには、以下の書類を準備する必要があります。
- 時効援用通知書(時効援用を主張するための正式な通知文)
- 故人の死亡届の写し(親が亡くなっていることを証明するため)
- 戸籍謄本(相続関係を証明するため)
- 請求書のコピー(債権者からの請求内容を証拠として保管)
これらの書類を整えた上で、内容証明郵便で債権者に通知を送付するのが一般的です。この手続きに不備があると、時効援用が認められない可能性があるため、できるだけ弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。